傷ついたまま大人になった生きづらさを抱えた人
アダルトチルドレン(AC)とは、子どものころに家庭環境によって傷ついた経験などをしてきたことで、大人になってからもコミュニケーションなどの場面で困難を感じている人のことです。
医学的な概念ではありませんが、アダルトチルドレン(AC)による生きづらさが他の疾患につながることもあるため、仕事や生活面でサポートが必要になることもあります。
日本人の大人の8割がACだと言われています。
おかしなことではなく、ほとんどの人が家庭内が機能不全しておらず、
大人になっても子どもの頃に親や養育者との関係の中でトラウマ(心的外傷)が原因となって、現在の生きづらさや人格形成への影響を感じている状態のことを言います。
健全かつ親密な人間関係を築くことが難しい
他人からの否定に弱い
承認欲求が強い
などの特徴があるといわれています。
アダルトチルドレンの生きづらさとして下記があげられます。
家庭、学校、職場、友人、恋愛、結婚など人間関係の場において悩みが多くなり
自分が望むような人生を生きることが難しくなります。
アダルトチルドレンの由来
アダルト(大人)とチルドレン(子ども)という言葉から、
大人になりきれていない人というようなイメージをされることもありますが、
アダルトチルドレンはそういった意味ではありません。
アダルトチルドレンは元々アメリカで使用されていた言葉で、
正式には「親がアルコール依存症の家庭で育った人」という意味で使われていました。
私の家庭がまさにそうでした。私はACです。そして私の両親もACです。
それから親がアルコール依存症でなくても、家庭環境によって成人してからも生きづらさを感じている場合があることがわかってきて、現在の日本ではいわゆる「機能不全家族」の
元で育った子どもという意味で使われることが多いです。
確かに、オレンジハーモニーにもアル中でない両親の下に生まれて育っている環境でしたが、生きづらさ、無気力、不安、病気、不調、人間関係の悩みを抱えて来られるケースが多いです。
アダルトチルドレンの原因
アダルトチルドレンの原因としては、「機能不全家族」で幼少期を過ごしたことで成人してからも生きづらさを感じていると考えられています。
「家庭内のトラウマを抱えて大人になっても生きづらさを抱えている人」
「機能不全家族」とは家庭内で弱い立場の人が身体的・精神的なダメージに脅かされている家庭のことをいいます。弱い立場とは子どもや高齢者であることが多いですが、ここでは
子どもに関連する場合を説明していきます。
ダメージを及ぼすものとして、虐待やネグレクト(育児放棄)といった行為、
貧困や家族同士の不仲、子どもに対する過剰な期待などがあります。
こういった状況の中で育った子どもが、大人になってからも自己肯定感の低さなどによって生きづらさを感じることがあります。
アダルトチルドレンの特徴
アダルトチルドレンは自分が価値のある素晴らしい存在だと認めることが難しい傾向があり、
それによって以下のような特徴が表れることが多いといわれています。
どうでしたか?
上記のようなネガティブ思考が強くなりすぎてしまうと、自分らしく生きることができず、
自分を偽ってしまうために楽しい幸せな人生が損なわれてしまいます。
偏ったネガティブな思考はどうして作られたのでしょうか?
1.アダルトチルドレンの特徴(考え方のクセ)
ACには考え方に特徴がみられます。
3つの下記の悩みが思考の癖となっていきます。
①存在してはいけない
アダルトチルドレンで悩まれる方の多くが 「自分は存在してはいけないのではないか」
「消えたいのに消えられない」 とおっしゃいます。
なぜそう思ってしまうのでしょう?
それには悲しい理由があります。
「そのままの自分では(家族から)受け入れてもらえなかったから」
「別の自分にならないと愛されなかったから」
という過去の家族の事情が背景にあります。
アダルトチルドレンは分析すると7つのタイプに分けられると言われています。
家庭で生き延びるために、愛されるために様々な役割を演じて自分を偽ります。
親から期待されて、家を支える存在になることを求められたら
【ヒーロー(スーパーチャイルド)型のアダルトチルドレン】になりやすいです。
気を遣うこと、誰かの面倒を見ることを求められたら
【ケアテイカー(お世話役)型のアダルトチルドレン】になりやすいです。
常におどけていないと、家族間の雰囲気が悪くなっていたなら
【マスコット(ピエロ)型アダルトチルドレン】でいなければならない
虐待や過保護の受け手になる生き方しか残っていなければ
【スケープゴート(生け贄)型アダルトチルドレン】になりやすい
ネグレクトにあったり、期待されていないと感じると【ロストワン(迷子役)型アダルトチルドレン】に陥りやすい
上記5つがアダルトチルドレンの5つのタイプですが、上記に共通しているのは
ありのままの自分では愛されなかった
と言う背景があったということです。
「ありのままの自分で愛されない」と思い込んだ子供が、その家に置いてもらい続けるためには、別の性格になって愛されるために、受け入れ直してもらうしかなかったのです。
つまり、上記5つのタイプになるためには「ありのままの自分では存在してはいけない」
と思い込む必要があったのです。機能不全の家庭で生き延びていくための防衛手段として
自分を偽り、歪んだ思考性になってしまいます。
アダルトチルドレンの特徴を持つ人に共通しているのは「自己価値の低さ」があります。
それは背景に、「ありのままの自分では存在してはいけない」
「ありのままの私では愛されない」という思い込みがあるからと考えています。
子どもの脳は未発達で未熟です。様々な経験をしていませんので、白黒思考になって認知が歪みやすいです。
白黒思考とは、白か黒どちらかしか選択肢がない極端な発想・考え方のことです。
このタイプの人は、「良い」か「悪い」か、「やる」か「やらない」か
「許す」か「許さない」かといったふうにしか判断できません。グレーゾーンがないのです。 『どちらとも言えない』といった中間の選択肢がなく、何事においてもオール・オア・ナッシングの考え方になります。
「認知のゆがみ」はいくつかあり、その代表的なものとして「白黒思考」があります。
白黒思考、認知の歪みになってしまうと、考え方が偏ってしまうために、現実を正確に認識することができず、ネガティブな思考や感情が強調されてしまいます。 完璧主義、理想が高すぎる、不安症や抗うつにもなりやすいと言われています。
「認知の歪み」の原因は、固定観念が存在するためといわれています。過去の経験や学んだことから形成された、”考え方の癖”のことです。 固定観念がもとになって、自然と浮かんでくる考え=自動思考が生み出されるのです。
思考の偏りは負の遺伝として代々受け継がれていくことが多いのです。
子どもは親の影響をたくさん受けます。子が親に逆らって生きていくことは難しいです。
親と子が同じ病気が連鎖していくのも思考の偏りの影響があると思います。
②自分は攻撃される
アダルトチルドレンの特徴の2つめは「自分は攻撃される」と思い込んでいる状態です。
②自分は攻撃される
アダルトチルドレンの定義は「機能不全家族に育てられたことが原因で、子供時代に心に傷を負ったまま大人になってしまった人」です。
そして、上記(アダルトチルドレンの特徴①)のように「別人格になって生きることを決めた私」が、家族や仲間、社会などからさらに否定されてしまったとき。
「攻撃された」と受け取ってしまうことが多いです。
せっかく頑張って「理想的ないい人になろう」としているのに、
それまで否定されたり意見されたら「攻撃された」と受け取るしかないー。
このような思い込みが人間関係を破綻させていくことになります。
自分は「攻撃される」と信じている人の心の奥にある想い
「自分は攻撃される」と思い込んでいる人は、自分のことをこんな風に考えます。
そう思い込んでいると、常に緊張していないと「情けない」のがバレてしまう、
嫌われてしまう…と感じ、心の奥で恐怖感を感じながら生きていくことになって
しまいます。
そして、上記(アダルトチルドレンの特徴①)のように「別人格になって生きることを決めた私」が、家族や仲間、社会などからさらに否定されてしまったとき。
「攻撃された」と受け取ってしまうことが多いです。
せっかく頑張って「理想的ないい人になろう」としているのに、
それまで否定されたり意見されたら「攻撃された」と受け取るしかないー。
このような思い込みが人間関係を破綻させていくことになります。
悲しいことに、自分自身が思い込んでしまった勝手な世界観が、
自分自身の人生を歪めていってしまうのです。
ある時は「どうせ攻撃されるくらいなら、私から先に」と言う風に
何も問題は起きていないにもかかわらず、つらいこと、嫌なことが起きないように
防衛するために最初から敵対視して他人と関わってしまう人もいます。
それでは人間関係はうまくいきませんが、恐れや不安からそのような行動に走ってしまうのです。
③見捨てられ不安
アダルトチルドレンの特徴、3つめは「自分はいつか捨てられる」という【見捨てられ不安】です。愛着障害の1つであり、「異性」との関係でできる心の傷です。
この見捨てられ不安を持ってしまうと、下記のような傾向になりやすいです。
自分を卑下していても、上から目線で偉そうにしていても、
奥にあるのは「自分はいつか捨てられる」という想い。
この想いに気づき、原因を明確にして克服していかない限り、自分が望む人生になっていかないのです。
AC特有の考え方と3大不安
ACの方は上記のどれか、または全部を持っています。
私自身も、この3つをすべて持っていた人なので、このつらさ・恐怖感は耐え難いものであることはめちゃめちゃ理解できます。
そして、私自身がそうでしたが、ACが克服できていない状況ではどうなってしまうか、
というと、3つの特徴を他者に否定してもらおうとする
ということが起こりやすくなります。
ですが、この期待はあっという間に崩れ去ります。
他者からのアドバイスや仕事での指摘や叱責、自分自身が犯してしまった小さなミスを積み重ねているうちに否定に弱く、自分に自信のないACは
「やはり自分は存在してはいけないのではないか」
「やはり攻撃されるんや」
「やはり自分は捨てられる」
という考え方になってしまうのです。
間違った思い込みが「現実だ」「その通りだ」と錯覚してしまい、
絶望になるのです。
AC克服のための向き合い方
「存在不安」「攻撃不安」「見捨てられ不安」を解決するためには
まず、ACになってしまったのは、
「アダルトチルドレンにならざるを得なかった理由(システム)」が存在します。
①アダルトチルドレンにならざるを得なかった理由に気づくこと
②その理由を理解し、不要な理由を排除する
③
システムを排除し、
存在不安・攻撃不安・見捨てられ不安を解除していくために自分で自分を「完全肯定」していく。
「不安」は「疑い」から生じます。
自分自身に不安を感じている人は、自分だけでなく、周囲にも疑いの視点を持っている方が少なくありません。
ですが、そこも想定の範囲と考え、疑われても最終的には信用してもらえるまで「完全肯定」を
続けます。
疑いが晴れたあと、次に来るのは「信用している相手に頼りたい気持ち」です。
これも頼りたい気持ちを十分に受け止めながらも
「本当に頼る必要があるのは自分自身である」ということに気付いていくことで、
じっくりと自己への価値観を高めていく流れを作っていきます。
アダルトチルドレンは克服出来る問題です!
生きづらさから解放されて、自分の人生に許可を与えられる生き方を共に探していきましょう。
カウンセリングではアダルトチルドレンの生きづらさを解消するために、過去の出来事を捉えなおすことなどをおこないます。アダルトチルドレンの人は過去の体験のネガティブな影響を大人になってからも受けていることが多いため、カウンセラーと一緒に過去の体験に向き合っていきます。
その中で過去を含めて自分を認めて、どう折り合いをつけていくかを整理していくことで、生きづらさの解消を
目指していきます。
アダルトチルドレンがまずすべきこと
アダルトチルドレンは、心の中に「傷ついた子供」を抱えています。
アダルチルドレンをよく知らない人は、
「=精神的に子供っぽい人」と考えがちですが、それは違いますとお伝えしましたね。
どちらかというと、逆です。
アダルトチルドレンの人たちは心の中の「傷ついた子供」を隠そうとしがちです。
そして「いいオトナ」を演じようとします。
しかし、それでは「傷ついた子供」は置き去りにされたままです。
潜在意識の中で、30歳でも40歳になっても3歳のままで泣いて怒って悲しんでいます。
その置き去りにされた子は、どうしたら満たされるのでしょうか?
その子はそこに閉じ込められた時から成長が止まっています。
「傷ついた子供」はどうやったら成長できるでしょうか?
人が成長するためには、何かを乗り越える経験が必要だといわれます。
たとえば、挫折だったり、失恋だったり、失敗だったり。
あなたも何かを乗り越えて、成長できたと感じた経験はないでしょうか?
それと同じように、
アダルトチルドレンも「オトナにならなければ」「弱みを見せてはいけない」と
心の闇を必死に乗り越えようとします。
でも、じつはそれは心の中の傷ついた子にとって、とてもつらい仕打ちなのです。
心の中の傷ついた子に「泣いてばかりいないで乗り越えなさい」と強要しても、逆効果です。
これは、他の人には頼めません。
もし、あなたがアダルトチルドレンだとしたら、
まず、あなた自身が、心の中に傷ついた子がいることを認めて、
やさしくいたわる気持ちを持ってほしいのです。
子どもの頃、親を優先して我慢しました。無理に大人になろうとしました。
誰にもほんとうの気持ちを話せないままだったのです。
大人になったあなたが、今、置き去りにされた小さなあなたに問いかけ、優しく話しかけてあげましょう。それをインナーチャイルドは待っています。
あなたが何十年もともに生きていくのは、他の誰でもないあなた自身です。
あなたがあなたの1番の友達となってください。
止まった心の成長を育てることはいつでもできます。
心が傷ついたということは、非常に愛情深い人なのです。
あなたのもつたくさんの愛を自分にまず注いでみましょう。